この文書は、AIが書いた大量のコードの上に成り立つプロジェクトについて、人間が書いています。
YonerAIは、一人の人間が、AIを開発パートナーとして使いながら作っているAI基盤です。設計の壁打ちはAIと行い、実装の多くはAIが書きます。人間はそれをレビューし、承認し、却下し、方向を修正します。何百回も。毎日。
だから「AIを人間の管理下に置く」は、このプロジェクトにとってスローガンではありません。開発初日から続いている、日々の運用そのものです。AIに方向を任せたら何が起きるか、承認を省略したら何が壊れるか、記録がないと何が分からなくなるか — それを毎日、自分のリポジトリで体験しながら作っています。
AIは、答えるだけの道具から、行動するシステムへ変わりはじめています。コードを書き、ツールを操作し、ファイルにアクセスし、外部サービスを呼び、現実の環境を変更する。この変化は止まりませんし、止めるべきでもありません。
問題は、能力ではありません。権限です。
AIはどこで動くのか。何にアクセスできるのか。重要な操作は誰が承認するのか。行動はどう記録されるのか。何かが起きたとき、人間はそれを理解し、止め、戻せるのか。
強力なAIが生まれてから、この問いに答えるのでは遅すぎます。答えは、最初から構造として設計されていなければなりません。YonerAIは、その構造を作るプロジェクトです。
単なるチャット画面ではありません。ローカルモデルのランチャーでも、自動化ツールでもありません。クラウドAI、ローカルAI、セルフホスト環境、ツール、アプリケーション、メモリ、権限、そして人間の承認を、ひとつの統治された体験として接続する、AIオペレーティングレイヤーです。
目標は、無制限の自動化ではありません。制御された加速です。
YonerAIは、AIを人間の管理下に置くために存在します。
Vision
ビジョン
YonerAIのビジョンは、AIを強力にしながら、制御不能にしないことです。
AIはこれから、OS、開発環境、ビジネス、教育、創作、インフラ、個人の作業環境の一部になっていきます。ひとつのチャット画面の中には留まりません。ひとつのモデルでも、ひとつのインターフェースでも完結しません。人々は、ブラウザ、デスクトップ、モバイル、コマンドライン、API、開発者ツール、そしてまだ存在しない将来のインターフェースからAIを使うようになります。
この未来に必要なのは、知能だけではありません。構造です。
構造がなければ、強力なAIはブラックボックスになります。権限がなければ、現実のシステムへ安全に接続できません。記録がなければ、何が起きたのか誰にも分かりません。承認がなければ、自動化は境界を越えすぎます。運用の柔軟性がなければ、ユーザーはひとつのプロバイダー、ひとつのクラウド、ひとつの画面に縛られます。
YonerAIが見ているのは、AIがユーザーの環境に適応する未来です。すべてのユーザーを、ひとつの環境へ押し込む未来ではありません。クラウドAIは使いやすく。ローカルAIは実用的に。セルフホストは現実的な選択肢に。ハイブリッドは可能に。ユーザーは、能力と制御のどちらかを諦めるべきではありません。
そしてYonerAIは、日本から、日本語ファーストで作られています。AIの世界では、英語以外の言語はしばしば二級市民になります。YonerAIのCLIは、日本語のコマンドで操作でき、日本語で状態を確認でき、日本語で統治できます。翻訳された体験ではなく、日本語で設計された体験です。同じ体験という原則は、環境だけでなく、言語にも適用されるべきです。
Principles
原則
これらの原則は、飾りのための言葉ではありません。それぞれの原則には、すでに動いている実装が対応しています。理想を語るだけの文書と区別がつくように、各原則の下に、現在のYonerAIでの実際の形を記します。
01知能より先に、統治を
より高性能なAIが、そのままより良いAIになるわけではありません。コードを書き、ツールを操作し、ファイルへアクセスし、環境を変更できるシステムは、より強力になる前に、統治されている必要があります。
境界は、自動化より先に。権限は、ツールアクセスより先に。承認は、実行より先に。記録は、自律性より先に。レビューは、自己改善より先に。監査できない機能は、中核に置きません。
現在の形YonerAIのインストーラーは、配布物のSHA256ハッシュを実行前に検証し、一致しなければ実行しません。壊れたときに開くのではなく、閉じる — fail-closed が標準です。
02重要な移行点に、人間の承認を
すべての操作に、同じ重さの承認が必要なわけではありません。下書きを作ることと、送信することは違います。ファイルを読むことと、書き換えることは違います。コードを提案することと、デプロイすることは違います。
リスクが低いとき、AIはすばやく支援するべきです。しかし、ファイルを変更する、データを外へ送る、インフラに触れる、公開状態を変える — そうした移行点は、見える形で統治されます。人間の承認は、後付けの機能ではありません。オペレーティングレイヤーの一部です。
現在の形CLIには「読み取り専用」から「リスク操作前に確認」まで、段階式の承認プロファイルが実装されています。ユーザーは自分のリスク許容度を、自分で設定します。
03最小権限を、標準に
AIは、最初から無制限の権限を持つべきではありません。読むことは、書くことを意味しません。下書きは、公開を意味しません。テストは、デプロイを意味しません。提案は、実行を意味しません。
権限は、行動、環境、ツール、リスクレベルごとに分離されます。目標は、AIを弱くすることではありません。明確な境界の中で、強力にすることです。
現在の形エージェントのデフォルトモードは「計画と読み取りのみ」です。実行系の権限は、明示的に切り替えたときだけ有効になります。
04追跡可能性を、標準に
現実の作業に影響するAIは、追跡可能でなければなりません。AIが情報を読み、ツールを呼び、ファイルを変え、行動を提案したなら、何が起きたのかの記録が残ります。追跡可能性が、信頼を成立させます。検査できないシステムを、重要な作業に信頼して接続することはできません。
ただし、記録と監視は違います。残すのは「何が行われたか」であって、ユーザーの中身ではありません。行動は追跡できて、内容は覗かれない。その両立が設計の対象です。
現在の形すべての実行は run ledger に記録されます。同時に、ファイルの本文、秘密情報、トークンはログに残らないよう、記録時点で除外・ハッシュ化されます。
05どの環境でも、同じ体験を
AIは、ひとつの場所に閉じ込められるべきではありません。クラウドで動いても、自分のPCの中のモデルでも、プライベートサーバーでも、同じ契約、同じ境界、同じ体験で動くべきです。
画面は変わってもいい。デバイスも、モデルも、プロバイダーも、環境も変わってもいい。しかし、統治の構造は一貫している。いつでも乗り換えられること。それ自体が、使う側の権力になります。
現在の形ローカルLLM(OllamaやOpenAI互換サーバー)は、クラウドモデルと同じ実行契約で接続されます。接続はloopback限定から始まる — ローカルの安全境界も、クラウドと同じ重さで扱われます。
06ローカルで動くものは、ローカルで自由に
多くのサービスは、サーバーで処理していることにではなく、構造そのものに課金しています。しかし、文書処理も、コード補助も、音声認識も、その多くはユーザー自身のPCで実行できます。
YonerAIは、ユーザーのPCで完結する処理に、できる限り制限をかけません。ローカルで動くなら、ローカルで自由に使える。クラウドが必要なとき — 同期、チーム、公式インフラ、保証 — だけ、そこに払えばいい。AIの実行権を売るのではありません。AIを使う自由を、ユーザーの側に戻します。
07自己進化は、統治の内側に
AIシステムは、時間とともに改善されるべきです。利用状況から学び、問題を発見し、不足を検出し、改善案を作るべきです。しかし、統治されない自己進化は危険です。レビューなしに自分を変更するシステムは予測できなくなり、承認なしに変更を公開するシステムは、実害を生みます。
YonerAIの自己進化ループは、観測し、分析し、提案し、価値とリスクをスコアリングし、承認を求め、実装を支援し、公開を支援する — この全工程が、承認と監査の内側にあります。提案は、提案で止まります。決定は、人間に残ります。
現在の形実装済みの自己進化ループは proposal-only です。提案は影響・リスク・実装コストのスコアカードつきで承認待ちに入り、承認なしのマージもデプロイも、コードレベルで不可能になっています。
08誇張しない
できることと、できないことを、分けて言います。完成していないものを、完成したとは言いません。
これは謙遜ではなく、インフラの一部です。信頼はシステムの性質であり、誇張は脆弱性です。小さく聞こえて本当であることは、大きく聞こえて嘘であることに勝ります。
現在の形リポジトリには「主張してはいけないこと」を定めた文書があり、各リリースノートには、できることの一覧と同じ重みで「含まれていないもの」の一覧が載ります。このページの「現在地」も、その規律の一部です。
Goals
目標
YonerAIの目標は具体的です。マニフェストを書いて終わることではありません。統治されたAIを現実に使えるものにする、オペレーティングレイヤーを作ることです。
1クラウド、ローカル、セルフホストをまたぐAIオペレーティングレイヤーを作る
同じ中核システムが、マネージドクラウドでも、ローカルモデルでも、プライベートサーバーでも、ハイブリッド構成でも動くこと。簡単さを求める人、プライバシーを求める人、制御を求める人、クラウドの性能とローカルの文脈を組み合わせたい人 — その違いを、モデルルーティング、権限、メモリ、行動ログ、承認フローを含む共通のレイヤーで扱います。
クラウド、ローカル、プライベートAIは、孤立した別製品ではなく、同じ統治モデルで接続された、異なる実行環境になります。
2複数のインターフェースで、統一された体験を作る
Web、デスクトップ、モバイル、CLI、API、開発者ツール — どこから使っても、作業の構造を失わないこと。すべての画面を同じ見た目にするのではなく、基盤を一貫させます。同じ権限が適用され、許可された同じメモリにアクセスでき、同じ承認モデルが重要な行動を統治し、同じログが行動を追跡可能にします。
これが、YonerAIを単なるチャットアプリではなく、AIを使った作業の制御レイヤーにします。
3統治された自動化を、実用化する
自動化は、AIの最も強力な用途のひとつです。同時に、見えないと危険になります。
YonerAIは、AIが何をしようとしているかが見えること、重要な行動を承認または拒否できること、実行された手順を確認できること、アクセス範囲を制限できること、必要なときに止められることを前提に、自動化を現実の作業で使えるものにします。目標は、AIを遅くすることではありません。実務で使えるほど安全な、加速を作ることです。
4開発者が拡張できる基盤を作る
YonerAIは、閉じた箱であるべきではありません。開発者が、ツールを接続し、ワークフローを作り、権限を定義し、YonerAIの上に新しいAI体験を作れること。API、SDK、CLI、ドキュメント、安全な統合パターンを通じて、それを可能にします。
開発者がAIで何かを作るたびに、メモリ、権限、承認、ログ、モデルルーティングの制御システムを一から作り直す必要はありません。YonerAIは、その再利用可能な基盤を提供します。
5統治された自己進化へ進む
長期的には、システムが人間の制御から外れずに、自分自身の改善を支援できる状態を目指します。利用状況を観測し、摩擦を発見し、改善案を提案し、価値とリスクをスコアリングし、承認を求め、実装を支援し、公開を支援する。
重要なのは、システムが改善できることだけではありません。改善が、統治されていることです。自己進化するシステムは、ブラックボックスであるべきではありません。レビューされ、記録され、権限管理され、人間が制御するループであるべきです。
What YonerAI avoids
YonerAIが避けること
何を作るかと同じ重さで、何にならないかを決めています。これは将来の自分への制約であり、ユーザーへの約束です。
- ユーザーを閉じ込めるプラットフォームには、なりません。いつでも乗り換えられることは、欠陥ではなく設計目標です。
- ローカルで完結する処理を、月額課金の人質にしません。あなたのPCで動くものは、あなたのものです。
- 見えない自動化を持ちません。重要な行動が画面の裏で起きるなら、それは機能ではなく欠陥です。
- 監査できない「賢さ」を、中核に入れません。説明できない判断に、重要な作業を任せません。
- ユーザーの中身を覗くことを、パーソナライズと呼びません。記録するのは行動であって、あなたの内容ではありません。
- 完成していないものを、完成したとは言いません。このページも、その例外ではありません。
- 人間の判断を置き換えることを、進歩と呼びません。判断を速くすることと、判断を奪うことは違います。
Operating modes
運用モード
YonerAIは、3つの運用モードを中心に設計されています。AIがユーザーの環境に適応するべきであり、すべてのユーザーを同じ環境へ押し込むべきではないからです。3つのモードは設計上の到達点であり、現在は段階を分けて実装が進んでいます。
Official Managed Cloud
インフラを管理せずにYonerAIを使いたいユーザーのためのモードです。簡単さ、可用性、同期、サポート、洗練された体験を重視します。すばやく始めて、公式のマネージドサービスとして使うための形です。
Official Hybrid Private
マネージドサービスの利便性を使いながら、重要なワークフローを自分の環境の近くで扱いたいユーザーのためのモードです。ローカルファイル、ローカルモデル、社内システムを、明確な境界の中でYonerAIと接続します。プライバシーと利便性を、対立するものとして扱わないための形です。
Full Private Self-Host
デプロイ、ランタイム、データフロー、運用境界を直接制御する必要があるユーザーと組織のためのモードです。プライベートなデプロイ、ローカル実行、独自インフラのための形であり、最も高い制御を提供します。
この3つは、別々のビジョンではありません。同じ中核システムへアクセスするための、異なる入口です。
The plan
計画
YonerAIの計画は、表面を広げる前に、基盤を作ることです。
第一のレイヤーは、制御。第二のレイヤーは、接続。第三のレイヤーは、自動化。第四のレイヤーは、自己進化。
この順番には意味があります。統治できないシステムが、自動化を先に進めるべきではありません。権限を持たないシステムが、重要なツールへ接続されるべきではありません。レビューできないシステムが、自分自身を改善するべきではありません。理解できないシステムが、強力になるべきではありません。
| ✓ | CLI ローカルランタイム | stable |
| ✓ | ローカルモデル接続 | loopback限定 |
| ✓ | メモリ境界 | opt-in / local |
| ✓ | エージェントコンソール | 既定は計画・読み取り |
| ○ | Googleログイン | staging検証中 |
| ○ | クラウド会話同期 | preview |
| ✗ | 本番クラウド | 未提供 |
YonerAIは、まだ完成していません。公開アルファであり、本番クラウドではありません。できていないことは、できていないと明記しています。
AIに大量の実装を任せながら、方向と承認と基準を人間が握り続けられるか。YonerAIの開発プロセスそのものが、YonerAIの思想の最初の実験です。
For an AI-native future
AIネイティブな未来のために
AIは、ソフトウェアの作り方、組織の動き方、個人の学び方、アイデアがプロダクトになる方法の一部になります。
その未来は、便利さと引き換えに、ユーザーが制御を手放すことを前提にするべきではありません。重要な自動化が、見えない場所で動くべきではありません。すべての作業が、ひとつのプロバイダーへ集中するべきではありません。知能と責任が、切り離されるべきではありません。
YonerAIが作ろうとしているのは、AIが現実を動かすほど強力でありながら、信頼できるほど構造化されている未来です。個人が、制御を失わずにAIを使える。開発者が、ひとつの道に縛られずに構築できる。クラウドとローカルとセルフホストが、同じ体験の中で協調する。自動化が隠されるのではなく、統治される。知能が、人間の意図と接続されたままである。
AIを使う環境そのものを、人間の手の中に。
YonerAIは、AIを人間の管理下に置くために存在します。